【理論編:第一弾】足し算の秘密大公開!
ナマステ〜
今村にいます。雨がすごいです。
そして今日はバスが故障したりタイヤがパンクしたりで村まで8時間かかりました。(最長記録)
明日から村では試験があります。明日から約一週間半頑張って欲しいですね!
昨日は算数教育をネパールでやる意味について書きました。
私は、ネパールで算数教育をやるにあたって1から算数を学びなおしました。
算数の理論について学んでいくうちに「算数って奥が深いな〜」と思うことがたくさんありました。
なので何回かに分けて、算数の理論を紹介して行こうと思います。
読者の方が、いずれ子供を持ってご家庭で算数を教えるときにも役立つのではと思いますので、ぜひご覧ください!
理論編第1回目の今日は、足し算の計算方略について書いて行きたいと思います。
足し算を解いてみよう!
皆さんにチョー簡単な問題を出します。
3+5=?
さあ答えはなんでしょうか。
もちろん正解は8となります。
さてここでちょっと視点を変えてみましょう。
3+5=8と導くまで皆さんはどういうステップをたどってきたでしょうか。
ちょっと意識的に計算してみてください。
多くの人は3+5という数字・記号を見た瞬間に8という数が頭に浮かんだのではないでしょうか。
皆さんは、これまでの人生で何度も何度も3+5を行ってきた経験から、式と答の組み合わせが長期記憶に格納されています。
よってわざわざ数える必要もなく即時に記憶から引き出して、答えを導くことができるのです。
これは足し算の計算方略の最も高次の段階「記憶検索」に当たります。
(後ほど説明があります)
しかし小学一年生のこどもたちはいきなり記憶を辿って瞬時に答えを出すことはできません。
小学一年生の子供たちには彼らなりの計算方略があります。
では子供たちはどのような方法で足し算をするのでしょうか。
足し算:5つの計算方略
①全て数える(Coutning All)
対象物を1から全て数えあげます。
例)3+5の場合
「イチ・ニ・サン・シ・ゴ・ロク・ナナ・ハチ」
②数え足し(Counting On)
被加数(足される数)から加数分(足す数)だけ数え上げます。
例)3+5の場合
「サン(小休止)・シ・ゴ・ロク・ナナ・ハチ」
③小さい方の数を数え足す(min モデル)
大きい方の数字に小さい方の数字を数え足すという、計算時間を節約する方略です。
例)3+5の場合
「ゴ(小休止)・ロク・ナナ・ハチ」
④推論または合成・分解による数操作(Derived Fact)
同じ数同士の足し算(例えば3+3)は覚えやすいことがわかっています(Groen and Parkman, 1972)。
そこで3+4を解くときにすでに覚えている3+3の結果に1を加えて7を出します。
3+4=(3+3)+1
あるいは、10を基礎とする合成・分解により10以上の答となる計算を行います。
合成・分解とは??
皆さん小学校の時に「さくらんぼ計算」って習いませんでしたか?
8+3の場合、8を2と1に分けて
8+2=10 で10を作り
10+1=11
とするやり方です。
これがまさに合成・分解を使って答を導く方略です。
実践編で詳しく書きますが、この合成・分解ができるかどうかが指計算脱却のカギを握っています。
⑤記憶検索(Fact retrieval)
記事の冒頭で説明した方略です。
①から④の手続きを繰り返し学習しているうちに、足し算の式と答の組み合わせが長期記憶に格納されます。
そして数え足しなどの手続きを利用しないで即時に記憶から引き出して回答する段階にまで習熟して行きます。
いわゆる自動化です。
ここまでくれば計算マスターですね!
ネパールの生徒の現状は?
ネパールの子供達、特に低学年のほとんどは指を使って計算します。中には高学年になっても指を使って計算する子もいます。
指を使って計算する児童の多くは、上の計算方略の2(数えたし)または3(minモデル)を使用していることが多いです。
使用しているというより、それ以外の計算方略を知らないと言った方がいいかもしれません。
4の合成分解によるかず操作ができるようになるだけで、計算力は飛躍的にアップします。
合成分解についてはまた後ほど記事にしたいと思っています。
まとめ
- 全て数える (Counting All)
- 数え足し(Counting On)
- 小さい方の数を数え足す(min モデル)
- 推論または合成・分解による数操作 (Derived Fact)
- 記憶検索 (Fact Retrieval)
今日は足し算の計算方略に関する理論紹介でした。
ではまた明日。